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Columnコラム

2015年11月27日

山形の旧家・長谷川邸を訪ねて

2015年10月下旬、ご縁をいただいて山形市の三日町にある旧家長谷川邸をお訪ねしました。

長谷川家は江戸時代からの日本一の紅花商人,
歴代の当主(および奥方たちが女傑として輩出された由)は代々、山形銀行頭取として県内政治経済のリーダーである
と同時に京文化や地域に根ざす美術品の優れたコレクターたちでした。

現在の当主・長谷川吉茂さんは裏千家淡交会の重鎮として今日庵老分を務める等、自ら文化活動を推進されでいます。
さらにこれら貴重な長谷川コレクションの多くを県内美術館等に寄贈するとともに地方文化財の普及活動を続けられています。

頭取という大変ご多忙な日々の合間の休日、吉茂さんと奥様の真知子さんに旧家の本格的蔵屋敷建築と
山形に息づくコレクションの数々をご案内頂けるという幸運に恵まれました。
屋敷門と前庭の佇まい
屋敷門と前庭の佇まい
屋根頂部・豪壮な鬼瓦
屋根頂部・豪壮な鬼瓦
長谷川邸を中心として、この通り界隈は歴史的景観賞を受賞したこともあるそうです。

この伝統的な商家建築は昭和の文化住宅部分と近代の表蔵、江戸時代の旧蔵などで構成されています。
庭園は主にフォーマルな前庭とバラ園等のある自然の庭によって構成されています。
 
座敷蔵入口・衝立は中村不折書
座敷蔵入口・衝立は中村不折書
蔵座敷・掛軸は田近竹邨:月光泛舟図
蔵座敷・掛軸は田近竹邨:月光泛舟図
屏風絵は橋本関雪:煉丹、額は狂涛万里図扁額
屏風絵は橋本関雪:煉丹、額は富岡鉄斎:狂濤万里図扁額
煉丹の右側部分が向い合って配置
煉丹の右側部分が向い合って配置
このように座敷蔵内部には掛軸、屏風、額、衝立等、山形の風土に息づく書画が展示されています。
伝統的な空間と書画が相乗して、重厚であると同時に何か懐かしさを感じます。
私の不明と簡単なスナップ写真なので、長谷川さんには申し訳ありませんが、雰囲気のみの紹介になりました。
 
欄間の透かし彫りが凄い
欄間の透かし彫りが凄い
一枚板の模様がダイナミックな天井
一枚板の模様がダイナミックな天井
何と言ってもこの蔵座敷の凄さはその伝統的商家建築としての素材とディテールにあります。

柱、梁、長押等、構造造作材の納まりの完璧さ、超豪華な一枚板天井、
透かし彫りの極みを見せる欄間等々です。
ここには本物の伝統空間があると実感しました。
今回は長谷川御夫妻に山形の素晴らしさをあらためて教えていただきました。
山形は江戸時代には紅花によって全国でも有数の豊かな地域でした。
国宝や重要文化財の数が東北で最も多いことがその証左です。

母なる最上川によって山形~~酒田~敦賀~京都へ通じる紅花の道は、私たちに様々な物語を想起させます。
私も建築家として山形の豊かな自然と歴史、風土に根ざした建築デザインを考えてゆきたい、
という思いを新たにしました。




 

2015年08月31日

佐竹伊助画伯のギャラリー

ホームページ第一回目のコラムです。
私たちの友人で画伯、佐竹伊助さんの「元気あふれる抽象画」を紹介します。


東京芸大卒で銀座の画廊などで活躍され、大量の絵とともに長年いらした東京近郊から、昨年御家族のいる青森県の弘前市に移られました。
80歳を超す先輩・友人ですが極めてお元気で弘前のご自宅でも創作活動を続けられています。
この6月に私たち夫婦は佐竹さん御夫妻を訪ねました。
弘前は「弘前ねぶた」と「津軽三味線」の伝統文化が色濃く漂う歴史の街です。


ご夫妻は最近、この街で個展を開いたことによって地域社会の仲間入りをされたようです。
個展は優秀なプロデューサーかつマネージャーである奥様の由紀子さんによるものです。地方の人が目にすることが少ない抽象画ですが、大変好評で人々に温かく迎えられた、とのことでした。
そのうち弘前に御自分のギャラリーをつくって、絵の後輩たちのためのスペースにもしたいという、素敵な計画もあるようです。


私の建築の理念はこのホームページにあるように「元気の出る建築をつくろう!」です。

佐竹さんの絵も、陽気でわかりやすいし色調も若々しいので、観ていると楽しい雰囲気が溢れ出てきてとても幸せな気分になります。
これらの絵は多くが100号に近い大型サイズであることも特長です。
いくつかは子どもの施設などに寄贈され、皆に元気を与えているそうです。病院や高齢者施設のロビーなどにも相応しいと思います。
私の見るところ幾何学的な構成とヨーロッパ的なエスプリに溢れていて、これはかなり建築デザインの構築に近いような気がします。
私のコンセプトにも重なると感じました。


画伯の多くの絵のうちから以下7点を紹介します。
御宅でのスナップや小さなカードから撮った写真なので、画伯には申し訳ないのですが、本当の絵の姿ではありません。
ですがそのポジティブな抒情性は伝わるのではないかと思います。

リズミカルな音楽のようでもある佐竹伊助ワールドをお楽しみください。
カタルーニャの乙女
カタルーニャの乙女
森の静けさ
森の静けさ
カリオンの音色
カリオンの音色
カブキ
カブキ
風
ノアの箱舟
ノアの箱舟
ミミ
ミミ